ここから本文です。

中小企業の経営者と支援者が握手をするイメージイラスト

経営力再構築伴走支援とは何か?

今日、全国の中小企業は、かつてないほど急激な事業環境の変化や、不確実性・不透明性の増大に直面しています。こうした状況下で、中小企業が持続的に収益力を高め、さらなる成長を図っていくためには、経営者自らが自社の経営課題を見極め、様々な環境変化に柔軟に対応して自社を変革させていく「自己変革力」を高めることが必要となっています。これに向け、中小企業支援者は、経営者に寄り添ってこの難しい課題に取り組む支援が求められますが、その支援の在り方自体も変革させていく必要があります。

経営力再構築伴走支援(以下「伴走支援」)は、経営者との対話と傾聴を通じて、経営者に企業の本質的な課題への気づきを促し、内発的な動機付けにより社内の潜在力を発揮させ、企業による課題解決を支援することにより企業の「自己変革力」の向上、「自走化」の促進を図っていく支援方法です。これは、組織開発における「プロセス・コンサルテーション」の考え方に基づきますが、支援者が、企業の課題やその解決策を提示して教えるのではなく、経営者が主体となって課題を設定し、企業自らの課題解決プロセスを側面支援することにより、「経営力」そのものを持続的に高めていく支援となります。

なぜ、いま「伴走支援」なのか?

経営者が課題に向き合わないイメージイラスト

先行き不透明で不確実性の高い時代において、企業が様々な経営課題を解決し、さらなる成長を追求する場合、企業は自ら環境変化に柔軟に対応し、自己を変革させながら取り組んでいくことが求められます。

しかしながら、経営資源の限られた中小企業の経営者が独力で自らの企業を変革させていくことは困難な場合が多くあります。また、日常業務で多忙を極める経営者は、自社内で潜在的に発生している問題や成長に向けた事業活動のボトルネックになっている要因に気づいていなかったり、気づいていても手を付けられていないことが多く、経営者が単独で自己変革力の向上に取り組むことは容易ではなくなっています。

そこで、信頼できる第三者による「伴走支援」が必要になってきます。経営者は、そうした信頼できる支援者と出会い、互いに対話と傾聴を重ねていく中で、自社や自身の課題に気づき、社員とともに潜在力を発揮して課題解決に取り組み、自走化を実現していくことにつながります。

伴走者が対話を重ね、経営者が課題に気づき自走化していくイメージ図

「伴走支援」の特徴

中小企業の経営者と支援者が課題に向き合い伴走するイメージイラスト

企業が持続的に自己変革を図っていくためには、まず経営者自身が、会社全体を俯瞰した際の本質的な課題に気づくこと、また、そうした課題解決が痛みを伴いそうなものである場合にも、敢えてそこに向き合うことが必要となります。さらに、こうした打ち手の実行の過程においても、過去の成功体験や前例、あるいは当事者間のしがらみといった要素に囚われることなく、企業自らの主体的な行動に移していくことが、その後の取組の継続性の確保のための必要条件となります。

一方で、企業の自己変革力は、支援者側から課題解決手法を提言したり、専門知見で教えるだけでは身につかないことが多くあります。外部からの一方的な解決策や答えの提示だけでは、「支援が完了した途端に取組が立ち消えた」「同じような問題がまた発生しても自分達で対応できない」あるいは、「良い計画はできたが、実行できなかった」といったことになりがちです。

このため、伴走支援においては、単に一方向的な提案を行うのではなく、経営者との双方向的な対話と傾聴を通じて、経営者との信頼関係を構築し、経営者自身に企業の本質的な課題への気づきを促し、十分に腹落ちし、納得感を持って課題の解決に向けて取り組んでもらうことを目指します。

加えて、経営者が社内外のしがらみを乗り越えながら取組の実行を進められるよう、他の役員や現場の従業員のマネジャーやリーダーも対話先として捉え、積極的な巻き込みを図っていきます。こうした取組を通じて、課題解決に向けた取組に主体性や持続性を付与することが可能となります。

企業が持続的に自己変革を図っていくためプロセス図

既存の支援との違い

これまでの中小企業支援では、個別課題への相談、助言や施策情報の提供あるいは特定課題の解決のためのサービス等、専門知識を有する支援者が解決策を提示する「課題解決型」の支援方法が主として展開されてきました。こうした支援はこれからも必要であり有効な場合も多々あります。
一方で、そもそも経営者自身に見えていない、気づいていない潜在的なニーズに対しては、そもそも何が本質的な課題かを特定していく「課題設定型」の支援が必要な場合があります。伴走支援では、繰り返しの対話と傾聴を通じて、時には経営者の内面や組織内の人間関係まで踏み込みながら、経営者と本質的な経営課題について「一緒に考えていく」姿勢を重視します。経営者と同じ目線で悩みつつも、時には、経営者自身が気づきにくい第三者としての観点を投げかけることで、経営者自身に気づきを与え、自ら行動しようという内発的動機を生み出すことが可能となります。
また、課題解決に向けた自発的な行動を促すことで、既存の公的支援や民間支援のサービスのより有効的な活用にも繋がります。伴走支援とは、企業の技術的問題の解決を主眼とする既存の支援策を補完しつつ、その上流部分の課題設定を図るための支援の枠組みであるといえます。

このサイトについて

本サイトは、全国の伴走支援の事例や支援ノウハウの共有、蓄積を図り、伴走支援の全国への普及・展開と支援スキルの向上を目指す、伴走支援者のプラットフォームです。伴走支援の事例には、これまで国が実施してきた伴走支援の特徴的な事例を掲載していますが、今後は全国の伴走支援者による支援事例や支援ノウハウの共有を図っていきます。また、支援者同士の情報交流等により、伴走支援のノウハウを共有しあい、お互いの支援スキル向上につなげられるようにします。現在、中小企業を支援されている皆様、また、これから伴走支援に取り組もうとする中小企業支援機関、支援者、コンサルタントの皆様にとっての一助となれば幸いです。