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〜社内コミュニケーションに課題。早期成果により大きな信頼感を醸成〜

オトミチ硝子株式会社(青森県十和田市、製造業、従業員数19名、資本金1,000万円)

従業員ヒアリングにより「社内のコミュニケーション」の問題が浮き彫りになり、社長による全社員へのヒアリング等をサポートして、課題を見出し、小規模な会社の機動力を活かして改善につながった事例である。また、有望な従業員の離職という事件が発生したことを受け、若手社員が中心となって前倒しで取り組んだ「ハラスメント規定の整備」を支援し、具体的な方向性を早期に出せたことにより、社長との信頼関係をより高めていくことができたものである。


本事例のポイント

【社長による気づきと行動変容】
支援者からの従業員ヒアリングのフィードバックにより、社長自身が軽く考えていた「社内のコミュニケーションと社内体制」の問題が本質的な課題であることに気づきを与えた。その気づきで、社長自身が全社員からヒアリングとするという行動につながった。支援者は、そのヒアリングでの従業員からの聞き方や組織体制についても助言することで、社長自身にノウハウを残すことができただけでなく、社内の課題への納得感がさらに高まることとなった。

当社の背景

当社は1980年に設立された、アルミニウム製サッシや鋼製建具を始めとする建設建材の設計・製造を営む企業である。取引先は公共事業から一般企業、さらに個人まで幅広く対応している。社長は4年前に事業承継を行い、持ち前のアグレッシブさと豊富なアイデアで会社を牽引してきた。ここ数年、売上・利益は右肩上がりで成長に向け貪欲に事業を行っている。従業員から「攻め過ぎ」と言われるほどのスピード感で溢れてくるアイデアがあるが、しっかりと整理し優先順位をつけて対応していく必要性を感じ始めている。当社は事業承継された頃から青森県よろず支援拠点の実施機関である21あおもり産業総合センターによる新規事業支援を受けており、そういった関係性から伴走支援をスタートした。

支援の流れ

【新規事業取組の企業を選定】
社長と支援チームは従前からの新規事業支援により、その過程でお互いの信頼も頂いていた。一方でこれまでの支援と伴走支援では会社との距離感や接触頻度は大きく異なり、労務問題などのセンシティブな内容には触れてこなかったため、開始してから更なる信頼関係を構築していく必要があった。

【社長による全社員へのヒアリング】
まずは支援チームにて、社長及び社員数名にヒアリングをした。そこで浮き彫りになってきたのが、従業員間での年齢差が大きく開いており、年代で仕事の仕方や姿勢にジェネレーションギャップが存在し、コミュニケーションの面で大きな課題があることであった。例にあげると考え方一つとってもベテラン社員は「わからない事があったら自分から聞いてほしい、少しは自分で考えてほしい」という考え方をしてしまう。若手層は「教えてもらってないのだから分からない、聞いてよいかわからない、わからない事がわからない」といったような具合でうまく調和していない様子が捉えられた。これにより社長が想定する以上に業務の継承がうまくいかず、社内的な作業配分のバランスもとれない状況だった。ベテランの社員は生産性が高く会社にとっては貴重な存在だが在籍年数は限られている、若手の社員は生産性が低いが将来性がある。この部分の調和が改善ポイントとなっていた。
社長に報告をすると、「人間関係に課題は感じていたが、想定していたより深刻だ。」と言い、すぐさま支援者と仕事の継承方法及び組織体制の見直しなど対策方法を検討し、社長は全社員と1対1で面談をした。面談をした従業員本人に「大丈夫か?」と聞いても「大丈夫です」としか返ってこないことは容易に予想できたが、「周りの人で困ってそうな人はいないか」という質問してみることを勧めると、支援チームのヒアリング同様、コミュニケーションの問題を拾い上げることができた様子だった。伴走支援のヒアリングをきっかけに社長自身も会社内の異常を察知する方法について気づきを得た様子であった。
また、社長自身が従業員にヒアリングをしたことで、支援者が整理してお伝えした課題への納得感は高まったように感じた。

【危機を共に乗り越え、更なる信頼を得る】
ヒアリングで炙り出した課題や社長のアイデアの実現に向けて事業計画を立て、アクションプランに落としていくことを支援することになった。その際、重要課題としては「ベテラン層から若手への技術承継」、「社内管理体制の整備」、「グローバル製品の開発」の3点であることを社長に納得いただいた。また、将来の事業承継も見据えて若手の社員を中心に進めていくこととした。
当社では少し前に社内のコミュニケーショントラブルから、これから成長し活躍が期待される若手社員が離職してしまうという事件が起きていた。技術継承の課題を発見してこれから対処を行おうという矢先であったため、「少しでも早く始められていれば」という後悔はあったものの、離職の波が伝播し2次災害となることを防ぐべく、社内管理体制の整備の一環としてハラスメント規定の整備を前倒しで進めた。社員からもヒアリングをし、社員へ口頭で対策を周知し、ハラスメント規定の文案への落とし込みを若手社員が中心となって急ピッチで進めた。この対応の結果、他の社員へ離職の連鎖は起こることはなかった。この対応には社長からとても感謝をされると共に、危機を一緒に乗り越えたことで社長との絆が深まったと感じている。
今後、技術承継の面で指導マニュアルやスキルマップの整備、グローバル製品の開発の面で外部機関との連携や資金調達などをアクションプランとして設定し進めていく予定である。

伴走支援の効果

製品開発等、本格的な課題解決支援はまだこれからであるが、これまでの支援の成果として、コミュニケーションについての課題を浮き彫りにすることができた点や、離職者が出てしまった際に早期に対策を打ち、ハラスメント規定を整備したことで2次災害を防ぐことができた点が挙げられる。また、社長から「社内の人間関係に課題は感じていたが軽く考えていた。支援者のヒアリング等を通して、重大な課題であることに気づかされた。」というようなコメントも頂いており、大事な気づきを与えることができた。更に共に危機を乗り越えたことにより、社長との間に大きな信頼関係を築けたと感じており、これからの支援でも社長と二人三脚で会社をより良くして行けるものと確信している。

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