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〜経営全体のレビューから製造プロセスの見直し、効果的な設備投資へ〜

株式会社ホクコー(北海道帯広市 食品製造業、卸売業 従業員数14名 売上3億円)

本支援は、先代の急な逝去による事業承継や、コロナ禍による学校給食向けの仕入れ販売事業等の加工卸売事業の低迷といった逆風下において、事業を引き継いだ現社長とともに二人三脚で行った伴走支援の事例である。支援者は、全社的な経営診断を行い、現状の分析や戦略の方向性を確認した上で、社長とともに、製造プロセス改善に可能性を見出し、製造プロセスの見直しを行うこととした。 当社には大胆な投資を行う余力はなく、限られたリソースから最大限の効果が図れると見込める機械の導入を決断し、自社製品製造プロセスの生産性向上に努めた。その結果、売上に占める自社製品比率の向上だけでなく、全社的な売上・利益の増加という成果が見込めることとなった。


本事例のポイント

【信頼関係の構築】
現社長から、これまでの経験で感覚的にとらえていた状況に対して、“客観的に自社の状況をとらえ、的確な分析と助言をしてくれたこと”。が最も信頼できたとのコメントがあった。コンサルタントとしては最も基本な部分と言えるが、財務分析はじめ定性、定量の評価を広く行い、適切な現状分析を行うことが結果的に経営者からの評価につながっている。

当社の背景

当社は関係のあった会社の帯広営業所撤退に伴い、同社の営業基盤および機械設備を継承し、生食肉、冷凍加工食肉、食品類の卸売業を目的に昭和62年5月に設立されたものである。初代代表取締役には当社の先代社長が就任した。
食品加工卸を中心に、ご当地麺である『十勝じゃが麺』(家庭用)の商品化や餃子の製造など事業の多角化を進め成長を図ってきたが、平成29年、先代社長の急逝という悲劇が当社を襲う。従前より経理などで経営をサポートしていた先代社長の妻である現社長は、家族への相談や関係金融機関とも相談する中で葛藤を重ね、従業員の未来や生活を守る、という思いの元、事業を継続することを決定する。
事業成長へ向けて整理すべき課題は多岐にわたり、地元での関係性を重視しながらの取引関係の見直しなどを行う意思決定は困難を極め、経営者としての判断に苦慮する場面が多々あったと振り返る。
そんな中、新型コロナウイルスが直撃し、食のサプライチェーンを破壊してしまい当社のビジネスはさらなる脅威にさらされた。関係取引先や金融機関との調整、事業の見直しなど急ピッチに進め最低限の止血でとどめ、事業を維持するに至った。そのような中、伴走支援の紹介を受けて支援を申し込むに至った。

支援の流れ

【現状を知る『経営診断』を丁寧に行う】
経営診断を丁寧に行い、定性、定量両面から客観的に当社の現状や実態を確認することとした。答えありきではなく、客観的に状況をとらえるためのヒアリングと対話を行い、経営診断レポートを仕上げることに取り組んだ。その上で、代表が感じていた漠然とした不安や、自分が進むべき方向をクリアにしていくことを目指した。

【現場までの幅広いヒアリングを通じて課題を深掘る】
経営診断を経て、製造から販売までのバリューチェーンの中で、当社は営業力に強みを持つキーマンの存在により“いいものがあれば売れる”状態であった。そのような中で、自社製品の製造プロセスにあたりをつけ、工程のレビューやボトルネックの模索、改善への効果検証を社長と一緒に行っていった。
このプロセスの中で、従来の経験と勘で行っていた判断を、定量的にとらえる取組を体験するに至った。

【成長戦略を踏まえた課題設定】
コロナの影響もあり仕入れ販売事業が縮小するなか、成長軌道にあった自社製品(ぎょうざ)をいかにして伸ばすか、といった点で議論を重ねていった。
地元の食材を活用したぎょうざについては、消費者にその付加価値を認知され、差別化を実現できる可能性のある商品であった。そうした背景から今後成長が見込める自社製品の製造プロセスの改善にテーマを定め、プロセスのレビューから見直しを経営者主体で図っていった。
一方、施策に取り組むにあたり、当社はリソースに限りがあり、取引先の金融機関への説明も含め大胆な意思決定が難しい状況であった。そんな中、地元市役所経由で、地元産きゃべつである“ジュビリー”の紹介を受けた。従前、冬季加工分は本州のキャベツを仕入れていたが、ジュビリーキャベツは収穫してから冬季まで保存が可能なため、このキャベツを使えばそのまま北海道で加工でき、プロセスの短縮化につながり生産性の向上、コストメリットの促進がなされる可能性があった。
一方、茎が固く人の手での加工には限界があった。ここであきらめず、機械化を図ることに光を見出し、限られたリソースのなかでキャベツの芯取機の導入を決めていった。

【限られたリソースの中での設備投資への意思決定をフォロー】
芯取機の導入という意思決定は、経営者単独では難しく、支援者からの助言が大きな役割を担った。
支援者からは、既存のプロセスの見直しに固執することなく、こうした外部からの機会を支援プロセスに組み込み、機械でなければできないこと、機械があることにより大幅に付加価値が向上することに着地することを伝えた。

伴走支援の効果

急な事業承継やコロナによる外部環境の変化による業績の悪化など、当社がおかれた環境は複雑を極めていた。そのような中で、経営診断による企業の方向性模索や自社製品の製造プロセスの機械化、設備投資を進めた結果、営業利益の黒字化が図られ、今期についてはさらなる売上、利益の向上が見込まれる状況である。
また、それと並行して売上高における自社製品比率が上昇傾向であり、今期は全体の20%程度が見込まれるところである(2年前の3倍)。

さらに、先代から事業を引き継いだ現社長の葛藤、事業における不透明さに対して客観的に助言する役割が存在したことにより、経営者の安心感の醸成、自信を高まらせた点は非財務的な面で影響として計り知れないものと言える。各種会議体の設計や実施、現場の巻き込みといった点にはまだまだ課題が見受けられるが、アフターコロナに向けて、地元産の原料で作った“ぎょうざ”は冷食マーケットの伸長をとらえ、時代ニーズにマッチした当社のコア商品としてより一層全国に届けられると思われる。

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