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~「鳥取から世界へ」フィアット専用アフターパーツのブランドづくり~

株式会社LAFITA(鳥取県八頭町 卸売業、小売業 従業員数3名 資本金100万円)

鳥取県八頭町を拠点にイタリア車専用アクセサリーパーツの企画・販売を手掛けるLAFITA(ラフィータ)は、イベント出展などで国内での市場開拓を図りつつ海外展開を進めていたが、コロナ禍で海外展開がとん挫。支援者は、企画力や行動力がある代表者を経営面からバックアップするとともに、自社商品の認知向上や企業PRに努め、「鳥取から世界へ」という海外展開のためのブランド確立に向けて支援を行った。


本事例のポイント

【自社の現状分析と市場動向分析及び事業計画の策定】

代表者は新商品開発と同時に海外展開を視野にした事業構想があり、実現化に向かう手段として補助金活用を検討していた。代表者の最初の相談先である地元金融機関と商工会とで事前に情報共有していたことで通常より短期間で信頼関係が構築できた。自社の現状分析やSWOT分析、顧客ニーズと市場動向分析を行った上で、複数の新商品開発と海外展開への事業計画を策定。小規模事業者持続化補助金の申請に必要な事業計画書も作成し、採択になったことから補助金を活用した取組を実施することとなった。

【代表者の思いを実現するためのフォローアップ】

「鳥取から世界へ」という代表者の目標に向けた海外展開では、事業計画をもとに代表者が積極的に海外に赴き販路開拓を推し進めた。展開においては企画力と行動力のある代表者を尊重しつつ、商工会では県や町の施策活用や資金繰りといった、代表者の思いを実現するための経営面にフォーカスしたバックアップとサポートによる伴走型支援を行った。

当社の背景

2018年9月、代表者の妻が所有するフィアット(イタリア車)のシフトノブをオリジナル製造したことをきっかけに個人事業を立ち上げ、日本で唯一のフィアットオリジナルアフターパーツを自社開発にて販売。販売方法はネット、代理店、イベント出店などで、正規ディーラー8割と契約していた。イタリア車イベントへの出店など地道な販路開拓により着実にファンを増やし、徐々に売上が上昇。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により営業自粛、イベント延期が相次ぎ、販路開拓の機会を失った。2020年4月の売上は前年対比62.5%減少し、対面販売によらない売上の増加策を必要としていた。

支援の流れ

【課題の導き出し・経営者への意識付け・自走化に向けた取組】

代表者の思い描く取組は実現に向けた意欲を感じられるものが多く、計画がとん挫しても、瞬時に次やるべきことを考える能力の高さがあった。そのため支援者は、事業として成り立たせるための売上・利益・経費といった数字を代表者が客観視できるようにした。計画策定時に代表者から明確な数値根拠を引き出すことで意識づけを行い、アクションに数字がついてきてこそ事業計画の実現性が増すことを伝えた。

【プレスリリース支援とマッチング支援】

プレスリリース支援では、鳥取県東部7商工会と東部商工会産業支援センターが開催する『新商品・新サービス合同記者発表会』への参加を提案。実際に参加し、当社及び自社商品の認知度向上を図ることができた。当社の強みは「木製」「日本製」といった価値のある商品と捉えていたが、プレスリリース支援により、企画開発力が一番の強みであると認識。中でも自動車全般ではなくフィアットに特化している点、代表者自身がユーザーとしての感覚を商品開発に活かしている点、日本唯一のフィアットのインテリアパーツ専門店であることの気づきが得られた。マッチング支援では、地元企業との連携を意識した商品づくりを実現。また、商工会の専門家派遣事業を活用してホームページのアクセス数を増加させるためのウェブ専門家による支援を実施し、ネット販売の強化を行った。

【フィアットと公式ライセンス契約を締結】

2022年11月から交渉を開始し、契約内容などの詳細を詰めて2023年3月に合意した。イタリア・トリノの自動車ブランド、フィアットが車のインテリアパーツメーカーと公式ライセンス契約を結ぶのは世界初であり、「メードイン鳥取」製品の世界市場へ向けた販売が実現。契約内容は「ダブルネーム」と呼ばれ、当社が販売するシフトノブや燃料キャップなど計7品目に、フィアットと兄弟ブランド「アバルト」のロゴと、当社のロゴを同時に使用できる。販売期間は2023年6月1日から1年間で、日本、イギリス、オーストラリアとEU加盟国の計30カ国で対象商品を販売することとなった。

伴走支援の効果

代表者はもともと発想力と行動力があったが、支援を続けていくにつれ、「なぜ自分がこの事業を実施していきたいと考えたか」という理由まで深堀りするようになった。それにより、「誰に」「何を」「どのように」という事業コンセプトや市場の分析などにも自然と目を向け、より具体的に事業内容について考えられるようになっていった。また、人に話すことで自分自身の考えもまとまり、新たな気づきが得られることがわかり、これまで以上に様々な場で様々な業種の人と積極的に交流するようになった。売上も順調に伸びているが、ライセンス契約や積極的な販促活動によりコストが増加し営業利益は赤字であるため、ネット販売の強化やコスト削減などの取組により黒字化を目指す。また、フィアットインテリアパーツ専門店としてフィアット製品のみを実施してきたが、今後は企画開発力を活かした新たなる事業展開も検討している。

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