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~コロナ禍で生じた創業200年超の老舗飲食店の業績悪化に対応~

東京都葛飾区 宿泊業、飲食サービス業 従業員数36名 資本金1,000万円

新型コロナウイルスの影響で、飲食業界は大きな打撃を受けた。特に断続的に休業や営業時間の短縮などが求められた都市部の飲食店は苦戦が続き、東京都葛飾区で長年飲食店を営んできたA社も深刻な業績悪化に直面していた。A社から相談を受けた亀有信用金庫は、ただちに支援体制を整え、資金繰り不安の解消と業績回復ためにコロナ後を見据えた事業計画の再策定を行った。


本事例のポイント

【経営者の悩みに早期に対応し業績回復を実現】

新型コロナウイルスの影響で業績が急激に悪化し、資金繰りが厳しくなったA社から、迅速かつ効果的な対策をとるにはどうすればよいかという相談を受けた。コロナ禍で先行きが見えず苦慮していた経営者の悩みを適切なタイミングでキャッチアップし、早期に対応したことで業績回復に繋げることができた。

【中小企業活性化協議会と連携し事業計画を作成】

業績悪化を食い止めるためには、資金繰りを安定させた上で、できる限り早期に事業計画の見直しを行う必要があった。事業計画の作成に当たっては数値計画もさることながら、コロナ後を見据えた実行可能なアクションプランが盛り込まれることも重要である。また、資金繰りについては複数の金融機関が関与していることから、作成する事業計画は公平かつ納得性の高いものでなければならない。これらの条件を満たすため、経営者了承のもと中小企業活性化協議会に協力を依頼。これにより、実行性と納得性の高い事業計画を作成することができた。

当社の背景

創業200年超の歴史を有する老舗飲食店のA社は、紆余曲折を経つつも近年は安定した業績を維持していた。しかし、コロナ禍で急激に経営環境が変化し、度重なる休業や営業時間の短縮を余儀なくされた結果、売上がコロナ前の1/4にまで低下。これに伴い大幅な赤字となり、不透明なコロナの収束時期を見据えつつ、事業継続を図りながら、お客で賑わう店を取り戻すために積極的な対策をとる必要があった。

支援の流れ

【現状分析の実施と数値計画の見直し】

中小企業活性化協議会に、A社の現在の経営状況の詳細な分析と課題点の洗い出しを依頼。財務面や事業運営における課題を特定し、改善のための着手点を提案してもらった。事業計画についても、現状分析の結果を踏まえて効果的かつ実現可能な形に見直してもらい、収支予測や資金ニーズの詳細な計画が策定され、安心して事業継続できる資金繰り計画が構築された。

【コロナ後のアクションプランの策定と借入金リスケジューリングの実施】

コロナ禍が終息した際の市場動向や、新しいビジネスモデルにも対応できるアクションプランを作成。デジタル化の促進や新たな顧客獲得戦略など、将来的な成長を見据えた戦略が盛り込まれた。中小企業活性化協議会の計画に基づき、A社は資金繰りの改善策の一環として借入金のリスケジューリングを実施。経済的な厳しさに直面する中、柔軟な支援策によって資金の返済負担を軽減し、事業再建に向けて具体的な一歩を踏み出すことが可能となった。

【経営者の精神的サポート】

緊急事態宣言やまん延防止等重点措置による度重なる休業や時短要請で、経営者は精神的に疲弊していた。当金庫はこれまで以上に訪問頻度を増やし、対話を通して経営者と密なコミュニケーションを図り、コロナ終息後の議論も積極的に織り込みながら将来に向けて前向きな展望を持ってもらうよう努めた。実行可能性の高い事業計画が完成、提示できたことで、融資元の各金融機関の了承も無事に得られ、資金繰り不安も解消したA社は新たなスタートを切ることができた。

伴走支援の効果

コロナ後は客足も順調に回復。A社の直近年度売上はコロナ前を上回り、完全回復の兆しを見せており、これらは伴奏支援策とアクションプランの確実な実行成果と考える。議論の積み重ねにより、共に危機を乗り越える基盤が形成され、結果としてA社経営者と当金庫との関係性もこれまで以上に強化された。しかしながら、急速な業績回復で多忙となり、当初設定したアクションプランの実行検証が甘くなっている。また、コロナ前後で来店客の消費行動が予想以上に変化しており、これまで以上に迅速な対応が求められている。これらの問題を解決するには継続的かつ丁寧なモニタリングが不可欠であり、当金庫はこれまで以上にA社との連携を強化し、持続可能なビジネスモデルの確立を支援していく。

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