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~ペットは家族!家族を安心して連れていける動物病院に!~

みやペットクリニック
(三重県津市 専門・技術サービス業 従業員数4名 資本金 3百万円)

津市にある「みやペットクリニック」は、先代院長の動物病院を承継する形で2021年に開業しました。 犬や猫などの疾患の診療に加え、TeamHOPEと呼ばれる獣医師団体と連携した健康診断を実施し、疾患の早期発見や予防を重視した動物医療を提供しています。 近年では、動物病院の数がペットの飼育頭数に対して供給過多となりつつある状況を背景に、競争力を高めて効果的に集客する方法を模索、他院との差別化を図り、新規利用者が増えるなどの成果が生まれました。


本事例のポイント

▶ 経営者の経営マインドの醸成
▶ 動物病院の集客力アップに向けた情報発信・利便性の強化

当社の背景

獣医師1名(院長)、ケアスタッフ2名、トリマー2名の小規模な動物病院。昭和62年に先代院長が開院し35年が経過。以来、地域密着の動物病院として近隣飼い主の動物を中心に診療。平成29年に先代から現院長が事業承継。病院名も変更しリニューアルを謳ったものの、診療所の外観は創業時から変わっておらず、近隣の新規開業した動物病院の存在やペットの飼育頭数の減少もあり、新規利用者の獲得などの経営に関する課題が生じていた。

支援の流れ

【対話による課題設定】
院長との対話を重ねるうちに、院長は自身の診療方針として、飼い主にとっては家族にも等しい存在である動物の命を扱っているため「ビジネス色を前面に出すことに消極的」であり、「獣医師としてこうありたい」という考え方が先行し、「経営者として考えなければならない集客のための施策が不足」していることが分かった。また、院長が提供したい価値として「ペットとして飼われている動物の健康寿命延伸」が挙げられ、健康診断の受診を習慣化し、病気を早期発見・早期治療していきたいとの考えであったが、先代院長の時代は飼い主の求める治療のみに専念し早期発見・早期治療の提案を行っておらず、そうした治療方針の違いを飼い主に打ち出してこなかったため、治療方法について飼い主との間でギャップが生まれたことも新規利用者の獲得が伸び悩む一因であると考えた。

これに対して、支援者より「動物病院もサービス業であり、何もせず受け身で客を待っていては競合に顧客を奪われてしまう。競合との差別化を明確にし、集客施策を積極的に取り組まなければ集客力アップは見込めない。」と説明し院長もこれに腹落ち。そこで「院長の動物病院経営に対する認識の希薄さ」を新規利用者の獲得が伸び悩む本質的な課題として捉えつつ、集客力アップに向けて、知見を有する中小企業診断士を支援チームに加え、具体的対策の検討を4回、計8時間程度実施し、具体的な支援内容を取りまとめた。

【集客力アップに向けた情報発信強化】
同院の既存広告宣伝施策は医院ホームページ、電柱広告、看板、タウンページのみであり、ホームページも休診日のお知らせを更新している程度で近隣競合に対し圧倒的に情報発信量が不足しており、どんな獣医師がいるのか、院内の雰囲気はどうか、どんな処置を得意としているのか等が全く分からない状況であった。そこで、飼い主に対して病気の早期発見・早期治療を提案するのではなく、来院前の見込み飼い主に対して医院の特徴や治療方針を明示することと、来院して欲しい飼い主(ターゲット顧客)を設定し、ターゲットが来院しやすくなる道筋を作る視点で施策を考えるよう提案。具体的には、ホームページに院長やスタッフの写真や、明文化した診療方針・医院の特徴、得意とする治療に関する情報(初期症状、処置例)を掲載することで専門性を出すといった改善や、新たに健康診断キャンペーンを実施し、同院が日常の健康管理に特に注力しているというイメージを訴求。

【利便性・生産性向上策の実施】
同院の診療では、従来から事前予約は受け付けておらず来院順に診察し、外から待ち時間の確認も出来ない状態であった。コロナ禍によって三密を避ける習慣が出来た結果、行ってみないと混雑状況がわからない病院は患者が減り、待ち時間のわかる病院の患者は増加傾向であることに加え、利便性の高さが集客に大きく影響する。一方で、動物病院の特性上、症状によって処置時間が変わりやすく、「日時指定の予約システム」の導入は困難であり、また、現状同院の既存飼い主層は高齢者の割合が高くインターネットやアプリを活用した日時指定予約システムは敬遠される可能性が高いと考え、「順番待ち予約システムの導入」を実施。これにより、従来通り医院受付でも順番待ち受付ができるほか、同院ホームページ上からも受付番号を取ることが可能となり、待ち人数をリアルタイムで確認できるほか、順番が近づくとお呼び出しメールで通知もされるため、就労世代の利便性の向上が期待できる。

伴走支援の効果

ホームページのリニューアルにより同院の情報発信力が強化され、順番待ち予約システムの導入で顧客の利便性が大きく向上したことにより、来院数増加に繋がった。また、支援チームの提案以外にも、院内の掲示物見直し(健康診断メニューのPR)やフードのサンプル提供を行うなど、飼い主の満足度を高めるための院長の能動的な行動も見られ、経営面を重視した病院運営への舵が切られ始めた。

   

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