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~対話と傾聴を通じ、営業不振に悩む食品会社の円滑な事業承継を実現~

東海 宿泊業、飲食サービス業 従業員数35名 資本金3百万円

東海地区で食品関係の株式会社として事業を続けてきた当社は、創業者である現経営者が高齢となったことから事業承継のタイミングを迎えていた。しかし、創業者は現役意識が強く、後継者候補は事業承継に積極的になれずにいた。加えてコロナ禍での営業不振なども影響し、スムーズな事業承継のためには第三者の介入が必要であったことから、伴走支援がスタートした。


本事例のポイント

【創業者と後継者が腹落ちした上での事業承継】

創業者は高齢ではあるが、経営に対して情熱があり、後継者が望む承継の形と認識のズレを調整することが課題のひとつだった。このため創業者と後継者に個別に事業承継について説得と説明を重ね、両者納得の上で事業承継が実現するように努めた。

【再生に向けた資金繰安定化のためのアドバイス】

金融機関への債務返済と在庫過多により、資金繰に困難が生じていたことから、再生に向けた金融機関調整も重要課題だった。これについては、当社の資金繰表を精査することで問題点を洗い出し、問題解決のための検討を重ねた。

当社の背景

支援者は弁護士として、食品関係の事業を営む当社の相談対応に以前から当たっている。創業者は高齢となったが、長年経営を担ってきた自負もあり、事業への意欲が強くあった。創業者の子供夫婦が後継者候補であったが、事業承継には必ずしも前向きではなく、コロナ禍の影響で多額の債務があることからスムーズな承継の妨げとなっていた。

支援の流れ

【事業承継に伴うメリットとデメリットの説明】

当社は資金繰りに難が生じることもあったため、資金繰表を提供してもらい、支援者がデータを分析してそこから見えてくる課題について毎月検討した。事業承継については、支援者が創業者に対して事業承継に伴うメリットを1年程度かけて継続的に説得。後継者に対しては、倒産になった場合どうなるかなど事業承継に伴うリスクを説明した。これにより、後継者はリスクを理解した上で事業の可能性に魅力を感じ、事業承継を決断。後継者が会社の株を承継することに創業者も納得し、後継者の配偶者が代表取締役となることで事業承継が実施された。

【事業承継後の継続的な相談対応】

事業承継後も資金繰に難が生じることがあったことから、毎月1回後継者と面談による相談対応を実施することとした。法的な課題に留まらず、毎回経営課題や営業課題についても意見を交換し、金融機関調整や古参の従業員への対応、創業者に対する対応などの課題についても随時相談を受けている。

【今後に向けたフォロー】

事業継続のためのマーケティング活動には、弁護士以外の知見も必要と判断したことから、中小企業基盤整備機構の専門家相談に依頼。相談時には支援者も同席し、情報を共有した。また、業界内の情報収集のために、飲食業の界異業種交流会を紹介。支援者も同行して関係先構築に役立てているほか、ホームページ制作会社を紹介して今後の営業戦略の柱にすることとした。

伴走支援の効果

課題の見える化を実践し、毎月の相談対応は後継者としても課題を整理、解消する契機となり、今後に向けて関係先の増加によって取引先が増える見込みができてきている。また、支援者が紹介した専門家への相談によって営業課題が明確になり、今後の戦略に迷いがなくなってきていることも大きな効果と考える。

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